蒸し鮑について
今日は蒸し鮑をこしらえました。徳島産のひとつ300グラム~400グラムの大きさです。
ではその過程をご紹介します。
活きた貝を、海水に入れて貰って、酸欠にならないようにポンプもつけてもらい、大切に大切に京都中央市場から「さくらい」へ持って帰ります。
活きているといっても、とっても暑い夏のことですから、長くは置いておけません。すぐに調理に取りかかります。
まずは、貝に付いている砂や海藻を、身に刺激を与えないように、やさしくきれいに取り除きます。
そして、貝殻と貝柱のギリギリを狙って、一気に貝殻から身を外します。
きれいな貝殻だけが残るのですが、いくら美しくても貝殻は食べられません。
金箔をはると、通称「金アワビ」になりまして、器として用いる事ができます。 こちらを使うと、料理がとても引き立ちますので、春の時季は重宝しています。
自然の造形美とでも申しましょうか、年輪のような巻いた模様がとってもきれいです。
話がそれましたので、調理の話に戻します…
アワビ
って加熱をして熱々をすぐに食べると、柔らかいです。鉄板焼きのアワビのステーキがこれにあたります。
ところが短時間の加熱だと、冷めてしまうと堅くなってします。
また火を入れる加熱時間が中途半端に長くすると、堅くなってしまいます。
しかし、ある時間をこえて加熱すると、逆に柔らなくなってきます。
加熱に関しては、独特の特性を持ったアワビ。調理にはとてもきをつかいます。
そのため、貝殻からはずして身だけにしたら、じっくりと火を入れます。
蒸し鮑の作り方には、色々な方法があると思います。
私どもで心がけていることは、ゆっくり火を通す事。
ここに限ってはゆっくりじっくり、鮑の身をビックリさせないような加熱を心がけています。
先に書いた「ほんまぐろ有馬煮」の調理方法とは、全く異なります。
あとは同じ産地のものを一度にたくさん仕込むことでしょうか。
もちろん産地が混ざると、柔らかくなる時間が異なります。そしてたくさん仕込むことによって、味わいが深まると思います。
その詳細は、上の写真をご覧になって「わかる方はわかる…」みないな解釈で、おゆるしください。
50個ほどのアワビを同時に仕込みますので、そのすべて均一に柔らかく仕上げるため、柔らかさを個別にチェックをしています。
1つ1つ貝と向き合い、仕上がり具合を調整します。
加熱後は冷ましてから、身を綺麗にして1日目は終了です。
2日目は、清酒ふんだんに用い、味を調えて仕上げとなります。
アワビは貝の王様、昔は海の貨幣とよばれていたそうです。
出来上がりましたこの蒸し鮑、程よく歯ごたえを残しています。海の旨みをたっぷり湛えた蒸し鮑、京料理さくらいでご提供しています。
ご用命の際は、アワビ食べたい!!とおっしゃってください。
お読みいただきありがとうございました。